この研究所は、経営者団体、企業ならびに労働組合の有志によって準備がなされ、1987年2月3日に設立発起人総会を開催し、国内外の雇用に関わる諸問題を考える場として活動を始めました。1988年3月末には労働省(当時)から社団法人・関西国際産業関係研究所として認可されました。
その後、産業界の労使、政府自治体、大学との忌憚のない意見交換の場として堅実な活動を継続してきました。その間、大学も産業界との知識の交流に基づく教育研究の重要性を認識するにいたり、2006年1月には同志社大学との間で学術交流協定を締結しました。
同志社大学との学術交流協定に基づき、研究所は大学内に設置し研究所も大学施設の供与をうけて活動を担う学生や若手研究者の参加が促進され、若い世代のモティヴェーションの強化に顕著な変化が見られるようになりました。
弊研究所の持ち味は産官学の職責を異にする人々が日本と世界の直面する雇用労働問題を一堂に会し、継続的に論じ合うことができることにあります。日々の日常業務に追われて、その業務の客観的意義や業務の先に見える社会観を見失いがちになることを防ぎ、自らの役割を日々精魂込めてまっとうできるような動機付けが大切だと考えています。
グローバル化の本格的進行、情報技術革新の浸透、マネー経済の肥大化、少子高齢化の着実な進行、等々の環境変化は個別企業の競争戦略のみならず日本社会の仕組みの再構築の必要を迫っています。この状況下、人々の思潮も、市場原理的思潮から社会民主主義的思潮まで振り幅の大きい動揺にさらされています。
研究所は会員個々の置かれた職責上の知識や経験を活かしていただき、かつその立場を超えて「本当に腑に落ちるごまかしのない理解」を求める、そういう議論の場を提供いたします。正解のない問題について、「考える作法」「討議して親友になれるような作法」を会員相互で錬磨する道場、懐かしい言葉で言えば、「いろり端」になることが願いです。